巷では外反母趾のサポーターがたくさんあるけど、実際の効果はどうなの?
にお答えします。
前回は外反母趾とテーピングについて私の見解をメリット・デメリットを交えてお話ししました。(詳しい内容はコチラ)
本日は前回のテーピングに引き続いてサポーターです。
外反母趾への対処法として、テーピング同様、サポーターは値段的にも安価で対策の入り口としてハードルは比較的低く導入がしやすいです。
では、外反母趾に対するサポーターはどのような効果をもたらしてくれるのか。
私の見解の下、メリット・デメリットを交えてお話ししていきます。
外反母趾へのサポーターの効果
外反母趾は足の親指が人差し指側に曲がっていき痛みを出すことが悩みになる状態です。
これは、親指の指先だけの変形によるものではありません。
外反母趾の方の多くが足指の筋力が低下していることが一番の原因になります。(外反母趾の真の原因についてはコチラ)
その過程として、足の甲の部分の骨である中足骨が横に大きく広がってしまい横アーチが低下してしまいます。(アーチの話はコチラ)
中足骨は、それぞれの足の指に対応するように親指側の第一中足骨から小指側の第五中足骨までの5本があり、主に足の甲の部分に分布しています。
外反母趾の方は、筋力低下による中足関節のゆるみが原因となって、中足骨の先端である足の付け根が外に大きく広がります。(開張足)
第一中足骨が横に広がっていき、さらに親指が人差し指側に入り込むことで、親指の付け根の“く”の字が強くなってしまいます。
外反母趾に対するサポーターの効果の1つは、この中足関節のゆるみによる中足骨の広がりを抑えることにあります。足の甲部分である中足骨の広がりを抑えることで、親指の付け根部分の“く”の字型の出っ張りを弱めます。また、中足関節のゆるみを補強し、足の横幅の広がりが改善されることで、相対的に足の指が開きやすくもなります。
さらに、多くの外反母趾サポーターは中足関節を引きしめる効果をベースにして、親指が人差し指側に入り込まないようにもカバーがなされています。
そのタイプは大きくわけて2通り。
- 親指が入り込んでいくことを防ぐために、人差し指の間にクッションとなる素材を入れることで、指を開きやすくするタイプ。
- 親指全体を包み込み、親指全体にかかる張力が、人差し指側に入り込んでしまうことを防ぐタイプ。
このような形のものが代表的です。
外反母趾へのサポーターのメリット
①安価である
サポーターはテーピングと並んで比較的安価です。
一回あたりの単価はテーピングと比べると高めになりますが、使い続けることを考えるとテーピングのように毎日変え続ける必要もないので経済的です。(ものにもよりますが、一つ5000円程度)
②着脱が比較的容易である。
サポーターを使用する一番のメリットは、やはりその着脱が非常に容易に行えるという点です。
外反母趾サポーターの多くは、履くだけ、あるいはマジックテープで留めるだけで、簡単に着けはずしができるようになっており、着脱に知識や時間を必要としません。
テーピングでは、十分に効果を発揮するための貼り方を知る必要があり、なおかつ毎回非常に時間と手間がかかるという問題点がありました。
この問題を解消してくれるのが、外反母趾に対するサポーターです。
③痛みが出る部分の保護
親指の付け根部分を含む全体を覆うようにサポーターを装着するため、親指付け根の出っ張り部分の保護にもつながります。
この部分は比較的痛みが出やすい場所です。
これは、親指の付け根部分が靴との衝突やこすれによって、炎症や腫れなどの皮膚の炎症を起こしやすい部分になるからです。
サポーターは、この付け根部分の緩衝剤としての保護効果が期待できます。
外反母趾へのサポーターのデメリット
一方で、サポーター使用におけるデメリットもいくつか存在します。
①履き物に制限が出る
外反母趾に対するサポーターの多くは、できるだけ目立たないよう薄型設計になっています。
しかしながら、それでもサポーターを使用すると足のかさが増し、履ける靴を制限してしまいます。サポーターがかさばることで靴のサイズが合わなくなるのです。
また、サンダルやミュールなどでは、サポーターが見えてしまうことから、靴のタイプ自体も大きく制限を受けることになってしまうため、容姿の面でもTPOに合わせて使用することが難しいと言えます。
②矯正力がテーピングと比べ弱い
サポーターによる矯正力には限界があります。
非常に簡易に着脱が行えるという点がサポーターのメリットではありますが、ただ履くだけあるいはマジックテープによる固定である分、外反母趾に対する矯正力は少し弱くなってしまいます。
外反母趾サポーターが多くの方が使えるように市販されているということも、その矯正力に影響を及ぼしている理由となります。
また、人によって足のサイズや形が異なるため、そのサポーターの全てが個人の足に完全にフィットするというわけではありません。
そのため、サポーターをはめて靴を履くと逆に『痛い!』という方もおられます。
万人に向けた作りになっているため、オーダーメイド性が低く、個人にあった外反母趾対策とはいい難い面もあります。
③劣化による矯正力・保護力の低下
ものには必ず『対応年数』があります。
外反母趾サポーターも例外ではありません。
使い続けることによって、ゴム部分の劣化・マジックテープの劣化・保護クッションのへたり、などが出てきます。
これは材質の性質上仕方のないことです。
以上のことから、永続的に使い続けるのは難しいと言えます。
外反母趾用のサポーターは非常に多くの種類が市販されており、その中から自分に適したものを見つける必要もあります。一言に外反母趾といってもその進行の程度や、症状の現れ方などによって、適切な対処法は異なります。自分の状態に合わないサポーターの使用はかえって症状悪化させてしまったり、外反母趾以外の足のトラブルの原因となってしまったりすることもあります。サポーターの使用により症状の悪化・もしくは変化を感じない場合は、そのサポーターの使用は控えた方が良いでしょう。
まとめ
サポーターは着脱が容易で痛みの緩衝材としては効果的。しかし、劣化に難あり。
メリット
①安価である
②着脱が比較的容易である。
③痛みが出る部分の保護
デメリット
①履き物に制限が出る
②矯正力がテーピングと比べ弱い
③劣化による矯正力・保護力の低下
以上が私が考えるサポーターのメリットとデメリットです。
使用感は各個人によりますが、痛む部分のクッション効果を期待するには有効な対策だと思います。